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土壌汚染事例集Q1:事業用地の継続使用か売却か!?

Q1(継続所有地の土壌汚染問題):事業用地の継続使用か売却すべきか・・どのような筋道を立てて選択していくべきでしょうか!?

 先代の父親から社長を引き継いで従前からの製造工場の経営5年目になります。構内に点在している特定施設は、排水路で繋がっていて排水処理設備に集水処理して、敷地外の公共用下水道に放流しています。

 父親の代から特定有害物質を使用していて過去に漏洩事故や操作ミスによる漏液事故等があったので、構内に土壌汚染があることは十分に想定内です。操業中の事業は既に時代の要請から遅れて事業収益性が見込めなくなってきたので、そろそろ引き継いだ事業を見直す潮時だと考えています。

 将来は、既往事業の解体跡地に新規事業を建設創業するか、当該地を売却するかの二択の選択に掛かっていると思います。逡巡しているのは、土壌調査をして土壌汚染が見つかってしまえば莫大な土壌対策費がかかりそうです。高額の土壌対策費が必要となるとすれば、新規事業計画も土地売却事業もメドが立たなくなってしまい途中で頓挫しそうです。

 それどころか、土壌汚染が見つかったら現状で土壌対策をしなければならなくなるようなら、一切土壌調査をしないほうが良いとも思ったりします。

 ・・かと言って、現状の事業のままでは、やがてはじり貧になりそうだし、中々まとまりが付かない悩ましい状況になっています。どのような筋道を立てて選択していけば良いのでしょうか。

A 将来の土地継続利用計画かまたは土地売却計画の選択にあたり、まだ土壌調査に着手していない時点ですから、土壌汚染の対策費用がどの程度掛かるかが明確になっていない訳です。このような現時点では、土地を売却するケース「当該地売却計画案」と保有し続けるケース「当該地継続保有案」の2ケースについて、ケーススタディをして比較検討することをお薦めします。

先々に、土壌汚染調査を行って、土壌対策数量が分かった場合には、当該土地を売却予定の場合と、継続保有して新規事業を計画する場合では、土壌汚染対策に適用する工法と工期と対策数量には数倍から十倍程の極めて大きな違いが出てきます。

ですから、土壌汚染調査に踏み込む現時点では、土壌汚染の調査結果として土壌汚染対策数量の規模に応じて、土地売却ケース、継続土地保有ケースについて、ケーススタディをして比較検討することが、将来の経営上の意思決定には極めて重要になります。

①「当該地売却計画案」では、土壌汚染の調査・対策予算を策定するには、土壌調査、対策費用は一般的には高く見積るべきです。一方、将来も自社保有し続ける「当該地継続保有案」では、当座は汚染拡大防止策を講じる対策費用と法定対策に必要な最小限の対策費用に限定すべきです。

②一般的には、土地売却を希望する土地所有者は最小限の土壌対策費用で浄化対策を終えたいと考える一方で、土地購入希望者の方は、全く反対に、完全にきれいな土地を買いたいと考えます。

③すなわち、土地所有者の売主は、土壌汚染対策法で定める法定の施策を講じて当該土地を売却したいと考えるのに対して、当該土地を購入して新規事業を計画しようとする土地購入希望者であえる買主は、一般に、土壌汚染対策法等は元より、地方条例による条例調査・条例対策やその他のダイオキシン類や油分やその他の有害物質による自主調査・自主対策を行った完全に浄化した清浄地を購入したいと考えます。

④このように、土地売買を前提とした「当該地売却計画案」での土壌調査対策事業は、法律、地方条例の他の有害物質による自主調査による土壌汚染までも視野に入れた広範な土壌汚染調査・土壌汚染対策が必要になるので、土地売買事業には特段の準備が必要になるのが一般的です。したがって、必然的に「当該地売却計画案」の方が、割高な土壌調査・対策費用になる傾向にあります。

⑤一方、これに対して「当該地継続保有案」の方は、従前から汚れていても汚れてなくても継続使用して来た所有地ですので、「汚染拡大防止対策」を講じることによって、継続使用していくことができますし、同様な新規事業を建設創業する場合にも、直ちに土壌汚染対策を講じなくても済むような優遇措置も採りうる等、大分土壌調査・対策の予算規模に違いがでてきます。

⑥また、「当該地継続保有案」の土壌対策工法の選択では、継続所有地では土壌対策期間が長期に確保できることから、原位置浄化等の初期投資が少ないけれども長期間掛かるかも知れない工法が選択できるようになることも経済性のうえでは大きな違いになります。

⑦実際の土地売買は、条件交渉でお互いに歩み寄りながらやがて売買は成立するか不調になります。売主と買主のニーズが折り合うまでには相当の費用と時間がかかることが多いのは、このような甲乙の基本的なスタンスの違いによるところがあります。

成すべき事は幾通りかのシナリオを策定して、事業主の状況に応じた最適な施策を選択することだと考えます。・・要諦は、「先手計画の立案」です。

(鈴木経営工学コンサルタント 相談役 鈴木茂)

 

 

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